花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「聖女の、それも大聖女レベルの素質があるからだよ」
「だ、大聖女レベルって……ほ、本当に、私にそんな素質があるっていうの?」
これまで似たようなことを言われても信じられなかったというのに、憧れているオレリアに断言されてしまうと、もしかして本当なのかもと戸惑いが生まれる。
「自分の身を守るため無意識に光の魔力、再起効果を発動させたんだろう。体力と魔力が回復するまで、エミリーはその姿のままさ」
聞き覚えのない言葉に疑問を抱きつつ真剣に耳を傾けていると、不意にオレリアが目尻を下げて表情を和らげた。
「あぁそれにしても、その小ささ懐かしいね。怖かっただろう、よしよし」
オレリアはエミリーの小さな体を抱きしめた後、猫可愛がりするように頭を撫で始める。
エミリーはされるがままの状態で「……やめて」と真顔で嫌がった。
次いでアデルもエミリーの顔をのぞき込み、慈しむような眼差しを向けてくる。
「エミリーちゃんは子供の頃から可愛らしいですね。喉は乾いてませんか? カプルのジュースを買っておいたから持ってきますね。待っていてくだちゃいね」
「……アデルさん、なんで私をちゃん付けなの。しかも口調がおかしくなってるわ」
「土兎クッキーもあるだろ。喜ぶからそれも出しておやり」
「……土兎クッキーって」