花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
アデルは「そうでした!」と顔を輝かせて、楽しそうに部屋を出ていく。
カプルジュースはカプルの果実を絞り蜂蜜を加えて作られる子供に人気の甘酸っぱい飲み物。
そしてオレリアが言った土兎クッキーもその名の通りで、以前魔法薬の授業で治療したあの可愛らしい土兎を模したクッキーだ。
そして、どちらも子供に人気の定番おやつである。
完全にふたりから三歳児として扱われていると気付かされ、エミリーは「中身は十六才ですから」と自分の頭に頬擦りし始めたオレリアを両手で押しやった。
そして威厳を保つように胸を張り、大人ぶった声音で話を戻す。
「再起効果だなんて、初めて聞いたわ」
「そりゃそうさ。一般的には知られていないし、聖女クラスの授業でもありもしない伝説の効果として話のついでに教師から聞かされるくらいだからね」
思わぬ言葉が飛び出し、エミリーは少しばかり身を乗り出す。
「オレリアもエトリックスクールに通っていたのは知っていたけど、聖女クラスだったのね。私てっきり薬師クラスの方かと」
「最初はエミリーと同じで薬師クラスに入ったんだよ。けどね、途中で強制的に聖女クラスに入れられちまってね。腹が立ったからどっちも両立してやったさ」
「すごいわ」
「なんてことないさ。私は天才だから」