花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

エミリーは大きく声を上げた後、苦しげに思いを口にする。

レオンに危険が迫る可能性があるのなら、自分の身に起きていることを打ち明けない方がいい。

けれど、彼を失いたくないからと自分が黙れば、レオンは苦しみ続けなくちゃいけない。

言うべきか、言わないべきか。エミリーの自問自答は振り出しへと戻った。


「体力が回復して大人の姿に戻れば、嫌でも世界は変わるだろう。大聖女の座を奪いに行っても良し、誰にも知られぬよう国を出てひっそり暮らしたって良い」

「怖い思いはしたくないから、できたらひっそりと暮らしたいわ。……でも、そうすると、レオン様にはもう会えないわよね。寂しいわ」

「自分の気持ちと向き合いつつ、レオンに打ち明けるかどうか決めるといい。私はエミリーの選んだ道を尊重するよ」

「オレリア、ありがとう。もう少しよく考えてみるわ」


話が一区切りついたところで、オレリアが立ち上がり棚へと向かっていく。


「実家へ送る物を、アデルから預かったよ。手紙も書くんだってね。明後日には送るつもりだから、悪いが早めにお願いするよ」


戻ってきたオレリアがテーブルに置いたのは、市場で買った便箋と封筒、それから魔道具のペン。

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