花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
六章

レオンがモースリーに戻ってから三日が経った。

エミリーの日常はこれまで通りではあるけれど、屋敷の窓からふと外を見て門の向こうを凶暴化した獣がうろついているのを目にするたび、心が不安でいっぱいになる。

今モースリーはどのような状況なのだろう。レオンが怪我などしていないだろうか。リタも無茶をさせられていないだろうか。

自分の目で確認しに行くこともままならい。

たとえ行ったとしても子供の姿のままではお荷物にしかならず、早く体が元に戻れば良いのにと考えてしまうほど。

しかし戻ったら戻ったで、これからどう生きていくかを選択しなくてはならず、また別の壁にぶつかるだろうと歯痒くもなる。

居間に置かれた餌を二人並んで仲良く食べている土兎をしゃがんで眺めながら、エミリーが「あなたたちは一緒でいいわね」と羨ましさたっぷりに呟いた。

窓を叩くコツコツという音が響き、淹れた紅茶をテーブルへ置いて席に着こうとしていたオレリアが「おやおや」と微笑む。

オレリアが窓を開けると魔導鳥が室内へと飛び込んできて、エミリーの頭の上に止まった。

自分に手紙を送ってくる人物など一人しかいなく、エミリーは笑顔の花を咲かせる。

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