花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
二章
寮の部屋に戻った後、知り合いのフィデルと町で偶然会い、話しているところをエスメラルダに見られ誤解されたらしいとリタに事の顛末を説明した。
偽名を使われていたことだけは切なくなるので言えなかったが、彼の美しい見た目や凄腕ぶりを話したあと、オレリアにも会ったと付け加える。
薬師を目指す人々にとってオレリアは憧れの存在で、生きる伝説でもある。
特にリタは熱狂的で「あの時許可を出してくれたら、会えていたかもしれないのに!」とすこぶる残念がった。
オレリアと知り合いのエミリーを羨ましがり、エトリックスクールを無事に卒業し祖国に戻る前に必ず引き合わせて欲しいと、エミリーに縋り付く。
そのお願いは、入学当初エミリーがオレリアとの関係を話した時からずっと繰り返されていて、エミリーもリタに「わかってる、約束は守るわ」と苦笑いでいつも通りの返答をしたのだった。
フィデルとの約束も早く果たされるのを願いながら週が明け、学生としての慌ただしい日々が始まる。
四限目の薬草学の授業を受けるべくリタと共に廊下を歩いてると、同じ薬師クラスの女子生徒に声をかけられ足を止める。