花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「ねぇエミリー、今朝聖女クラスの教師に話しかけられているの見かけたけど、クラス移動の誘いを受けてるって話はやっぱり本当なの?」
声を潜めながら尋ねられ、エミリーは今朝のことを思い出して少しばかり渋い顔をする。
確かに、いつも自分を呼び出す聖女クラスの熱心な男性教師に廊下で呼び止められ、編入に関する話だけでなく長期休暇の研修先の紹介を長々とされ、しばらく解放してもらえなかったのだ。
「話はされたけど、私は薬師になるのが夢だから関係ないわ」
思い出しうんざりとした気持ちで正直に答える。女性生徒はやっぱりと顔を輝かせるも、エミリーに興味がないとわかって少し残念そうにした。
「エミリーなら聖女クラスに入ってもトップにいけるのにもったいないわ」
「確かに、エミリーがクラスメイトになったらエスメラルダは今みたいに大きな顔できないでしょうね。でもあのクラスはものすごく居心地悪いだろうし、優秀だからってだけで変更させられでもしたらエミリーが気の毒よ」
リタが自分の考えを話しながら肩をすくめた時、ちょうど近くの教室から聖女クラスの生徒が四人出てきて、通りすがりにじろりとエミリーたちを見やった。