花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
「すごかったね」と言葉を交わしながら、エトリックスクールの一年生たちはエミリーとリタを最後尾に裏庭を出ていく。
残ったのはテド院長と城の侍従長、そしてフィデル副団長を含めた騎士団の三人。
「まさか聖女遷移に立ち会えるなんて……しかも、さっきのは大聖樹による選出が行われたと思って間違いないだろうな。聖樹が自ら聖女を選ぶなんて話は御伽噺だと思っていたが、本当だったんだな」
「三百年前に起きたとして城に記録は残されていますが、聖女院にはあやふやな箇所も多く信憑性が低いと言われております。ロレッタ様の時の聖女遷移も人による選出だったはずです。……それだけエミリー・メイルランドが素晴らしいものを秘めていると言うことなのでしょう」
「それにしても、よりによって選ばれたのがオレリアの息のかかったエミリーだなんて、大揉めになりそうな展開だな」
「本当に、まさかあの子だなんて驚きました。直ちに国王様へ報告をしなくては」
騎士団三人が姿勢正しく並ぶ横で、テド院長はちょっぴり楽しそうに、侍従長は頭が痛そうにこめかみを押さえながら話を進めていく。