花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!

土兎は足にひどい怪我をしているだけでなく、猛毒による麻痺や痙攣も起きていた。

今日の授業は、「この子を助けるための複合魔法薬を皆さんに作っていただきます」という台詞から始まり、生徒だけでなく女教師もたった今複合魔法薬の生成を終えたところだ。

一年生に複合薬を完成させるのは難しいだろうと判断し自らも生成していたのだが、エミリーが自分よりも早く作り終えたことに驚きを隠せなかった。

女教師は小さな匙を使って、エミリーが作った複合魔法薬を土兎の口や足の傷口へ慎重に垂らす。

女教師とエミリー、そしてひとりふたりと生徒も教卓へ集まり、ぐったりしている土兎を固唾を飲んで見守る。

やがて長い耳がピクリと動き、目にも力が戻り出す。少し動きがぎこちないものの、土兎は顔をあげて、大きな黒目をきょろきょろさせた。


「素晴らしい。合格です! すばやく回復させたエミリーにみなさん拍手を」


エミリーがホッと息をつくと同時に、女教師が声を高らかに褒め称え、クラスメイトからの拍手が続く。

カゴの中から自分を見つめてか細い鳴き声をあげる土兎に、エミリーは微笑みかける。

よく見れば、背中にハートマークのにも見える模様があり可愛らしい。

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