花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
こうして自分の力が役に立っていることに嬉しさがわき上がり、やっぱり薬師になりたいと思いを強くした。
「エミリー、席に戻って良いですよ。さあ次からは私が所見で合否を決めます。複合魔法薬ができた生徒から前に出てきなさい」
女教師に言われ、エミリーだけでなく教卓に集まってきていた生徒たちも自分の席へと戻っていく。
腰掛けると早速隣の席のリタから「さすがね!」と笑いかけられ、エミリーは「ありがとう」と微笑み返した。
「毒消しに麻痺なおし、回復薬。一個一個は簡単に作れるんだけど、混ぜると回復薬の効力が負けちゃうのよね。それで光の魔力が足りないのかと思って濃度を高めると……」
リタが試験管立てに並べた魔法薬入りの試験管三本を睨みつけた時、斜め前の席からポンッと小さな爆発音が響いた。
フラスコから立ちのぼる白い煙に咳き込んだあと、男子生徒は「失敗した」と肩を落とす。
これはさっきから至る所で起きている現象で、魔力濃度はもちろんのこと、各魔法薬の分量の塩梅が良くないと拒絶反応として爆発が起こってしまうのだ。
「エミリーはやっぱりすごいわ。絶妙な配合をさらっとやってのけたもの」