花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
エミリーが困惑顔でエスメラルダを見つめ返す。
すると、エスメラルダは掴んでいた手にぐっと力を込めて、痛みで顔を歪めたエミリーへ怒りを込めて冷たく言い放つ。
「目障りよ、身の程を弁えなさい」
「ふん」と鼻を鳴らしてエミリーの腕を離し、エスメラルダは聖女クラスのふたりを引き連れ歩き出す。
言葉で心を突き刺されたエミリーは、その場に呆然と立ち尽くす。
「……もしかしてエスメラルダって、例の彼のこと好きなの?」
「……そ、そうなのかも」
リタとエミリーが顔を見合わせて小声で言葉を交わし合っていると、今度は曲がり角の向こうからビゼンテ先生が姿を現した。
「あぁエミリー。ここにいたのか、探したよ。すまないが、午後の授業が終わったらすぐに応接室まで来てくれないか」
「応接室ですか?」
「話があるんだよ、色々と」
次から次へとなんだか忙しないなと気怠げに感じながら、エミリーはビゼンテ先生に「わかりました」と頷く。
「よろしく頼むよ!」と言って急ぎ足で立ち去っていくビゼンテ先生を見つめながらため息をついたエミリーに、リタはにやりと笑みを浮かべる。