花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!


「応接室で話し合いだなんて本格的じゃない? カルバード学長も出てくるかもよ」

「カルバード学長か……本当に居たら嫌だなぁ。いったいなんの話だろう」

「聖女クラスへの移動の話じゃない? エミリーを大聖女にするために、本腰入れて話し合うつもりかも」

「聖女遷移の花びらはただの偶然よ。私には関係ないってば」


大聖樹と自分を繋げるかのように黄色の花びらが落ちたため、次の大聖女なのではと周りが盛大に勘違いをしている。

一貫して「私が大聖女だなんて有り得ない」という態度を取るエミリーに、リタはなぜその気にならないのかといった顔をする。


「ねぇエミリー、大聖女になったらお城の出入りは自由よ。とんでもない美形だって噂のレオン王子のご尊顔をたっぷり拝めるわ。あぁ私も見てみたい」

「私レオン王子に興味ないし、大聖女はどう考えてもエスメラルダでしょ」


エミリーは肩を竦めると、思い出したように「お腹空いた」と食堂へ向かい出す。

「ちょっと待ってよ!」とリタもすぐにエミリーを追いかけたのだった。




午後の授業が終わり、エミリーは校舎一階にある応接室の扉の前で足を止める。

ビゼンテに言われた通りやって来たは良いものの、気が進まなくて扉を叩けられず、ぼんやりと大きな扉を見つめる。

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