花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!


「幼い頃から大聖女になるべく教育されてきたエスメラルダは意識が高く、聖女としての素質も十分。ロレッタ様の跡を継ぐのにふさわしいのは彼女よりもエスメラルダなのは明らかだ。本当に選ばれたのは彼女なのか? エスメラルダの間違いではないのか」


エミリーでは不満だという気持ちを隠すことなく、カルバード学長は気怠げにため息をつく。

聖女になった所で、きっとこの先もこんな風にあからさまな態度を取る人がごろごろ出てくることだろう。

その度嫌な思いをさせられるなら、聖女になんかなりたくないというのがエミリーの本音だ。

私が大聖樹に選ばれたというのは本当なのか。学長の言う通り何かの勘違いではないのか。むしろ勘違いであって欲しい。

許されるなら、ここですっぱり断ってしまいたい。

そんなことをぐるぐると頭の中で考えながら顔を俯かせたエミリーの傍に侍従長は立ち、カルバード学長を鋭く見据える。


「カルバード学長、国王陛下は先日の状況を踏まえ考慮の末に、テド薬師長からの提言を了承されました。言わばこれは国王陛下のご意思も含まれていると言って良い。異を唱えるおつりもりでしょうか。そうでないなら言葉を慎んでいただきたい。国王陛下に仕える身として黙ってはおられません」


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