花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!
しかし、国王自らが下した命令ではないため効力は強くないため、カルバード学長は態度を改める様子はない。
学長と侍従長の間に張り詰めた空気が漂い出すも、ビゼンテはそんなのお構いなしに意見を述べ始める。
「学長お言葉ですが、エミリーは聖女クラスのどの生徒よりも光の魔力に長けているかと思われます。我々も、入学前から彼女には聖女クラスへの移動を打診していたほどですから」
そこで学長に「お前は黙っていなさい」とぴしゃり言い放たれ、さすがのビゼンテも口を閉じた。
しかし、代わりにテド院長がぼやき出す。
「大聖女様もその目で見ていただろうに、簡単には認めないようだな。おまけに聖女院の院長を兼ねているあなた様も全面的に大聖女を支持か。なるほどこれならば、十日も経つというのに動きがなかったのも納得だ」
そこで再びテド院長はエミリーへと姿勢正しく体を向ける。
「薬師院は代替わりが行われた後も、大聖女様へ変わらぬ支援をしていく所存です。エイヴァリー国王一家も態度を変えるつもりはないだろう。……いや、むしろ張り切ってあなたを手助けするお方がひとりいらっしゃるか」
最後ににやりと笑いながらひと言追加し、侍従長とフィデル副団長も微かに笑みを浮かべた。