【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
俺の言葉にさくらは、笑顔を向けて「はい。……ありがとうございます」と答えて、またジャムを塗る手を動かし始めた。
「いただきます」
さくらは大きな口を開けて、トーストを頬張り始めた。
「このジャム、美味いな。何のジャムだ?」
「新商品のザクロジャムです」
ザクロジャム? また変わったもの買ったのか……。
「ザクロジャムか。美味いよ」
「よかったです。ずっと気になってたので、買ってみました」
さくらも「美味しい」と言いながら、あっという間にトーストを食べ終えた。
「ごちそうさまでした」
「あ、俺、片付けるから」
「ありがとうございます」
俺は食器をシンクに置くと、そのまま部屋へ戻り服を着替えた。
「さくら、準備出来たか?」
出かける時間になり、さくらにそう問いかけた。
「はい。もう終わります」
さくらの声がしたと同時に、部屋のドアが空いた。
「じゃあ行くか」
「はい」
さくらを助手席に乗せると、車のエンジンをかけて車を病院まで走らせた。
病院に着くまで、さくらはオーディオから流れてくる音楽をただ聴いていた。