【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
「さくら、今日の夜は何か食べに行かないか?」
「え? 夜、ですか?」
「ああ。久しぶりにさ」
俺がそう言うと、さくらは「はい。行きましょう」と言って俺に笑いかけた。
「じゃあ、決まりだな」
「はい。終わったら、連絡しますね」
「ああ」
楠海浜病院に着いた俺は駐車場でさくらを降ろし、自分も病院へと向かった。
「おはようございます」
「お、おはようございます北斗先生」
医局に入ると救命の仲間がすでに来ていて、笑顔で挨拶をしてきた。
「みんな早いな、今日」
「北斗先生、そういえばこの前受け入れ断ったあの患者って……。どうなりましたか?」
多分さくらの病院に運ばれたあの患者のことを、言ってるんだろう……。
「妻の話だと、バイタルは安定してるが、意識は戻ってないらしい」
「そうですか……」
「心配するな。妻が必ず、助けてくれるはずだ」
「……はい」
さくらはもう立派な、救命医だ。年齢が若くても、みんなよりも経験が浅くたって、さくらは立派な救命医だ。
「俺の妻は、優秀な救命医だからな」
「北斗先生、惚気ですか?」