【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
「分かりました。すくに運びます」
ストレッチャーを押して、処置室へと運ぶ。
「1.2.3……!」
「沢田先生、こっち手伝ってくれ!」
「はい!」
救命の後輩、沢田先生を呼び処置を始める。
「北斗先生、モニター付けます」
「お願いします」
俺は瞳孔不同がないかを確認していく。
「北斗先生、バイタル、安定してます」
「よし、すぐに脳内出血がないか調べるぞ」
「はい!すぐにMRIに運びます」
患者を治療していくのは、容易いことではない。頑張ってもどうにもならない時だってある。
だけどそれは同時に、命を助けることが出来なかったという罪悪感と、絶望を味わうことになるのだ。
悔しさと虚しさ。全てを感じるのは、この仕事だと思う。
「……12時14分。死亡、確認」
隣で、そう言葉が聞こえた。そうだ。どれだけ手を尽しても、助けられない命がそこにはある。
俺たちだけじゃ、救えないこの命が……そこには。
「まずい。この患者、右の呼吸音が聞こえないな……。人口呼吸器付けよう」
「はい。すぐに準備します」
患者を助けることは、俺たち医者が出来る唯一の手段だ。……諦めたくない。