【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


「除細動します。離れてください!」

「はい!」

 除細動を使うが、心拍が戻らない。

「心拍、戻りません……!」

「もう一度!200でチャージしてください!」

「はい!」

 もう一度除細動をチャージする。

「除細動します。離れてください!」

「はい!」

 今度こそ戻ってきて……。お願い! 横井さん、みんな待ってますから。

「……心拍、戻りません」

「もう一度……。もう一度、除細動しましょう」

「……さくら先生、もうこれ以上は……」

 それでもわたしは、諦めたくなくて……。なんとかして助けたかった。
 何度も何度も、心臓マッサージを施していた。でも……。

「さくら先生……。もうやめましょう」

 見兼ねた四方木先生が、わたしのその両手を掴んだ。

「でも……」

「横井さんはもう……。助かりません」

 四方木先生の言葉にわたしは、静かにゆっくりとその両手を離した……。
 そして心停止を告げるアラームが鳴り響く。

「……っ」

 悔しい。すごく悔しい……。

「15時36分。……死亡、確認」

 と、四方木先生の震える言葉が聞こえた。
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