【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


 松村先生は無口であまり喋らないけど、本当は患者さんのことを誰よりも思っている人だ。
 なぜ赴任してきたのか、その理由は聞いてもいない。だけど人手不足の楠海浜病院に新たな救命医が来てくれたことは、正直嬉しい。

「松村先生、お昼一緒にどうですか?」

 と聞いても、松村先生は「……いえ。カップラーメン食べるので」と断るばかりで、わたしとしてはちょっと複雑だ。
 松村先生が本当に何を考えているのか、分からないな……。

「松村先生、休憩に入りましょうか」

「……はい」

 本当に何も話さないな……。なんて話しかけようか、迷う。

「……さくら先生、今日食堂行かないんですか?」

 医局でおにぎりを食べるわたしに、松村先生はそう聞いてきた。

「はい。今日はおにぎりなので」

「……そうですか」

 え、それだけ……? 

「松村先生は何で、楠海浜病院に?」

「……向こうの医院長から、行けと言われたので」

「そうですか。 でも松村先生が来てくれたおかけで、わたしたちはとても助かってます。ありがとうございます」

 と言うと、松村先生は「……そうですか」とだけ答えた。
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