【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
と、お父さんは言ってくれた。
「ありがとう、お父さん」
「さくら、有給まだ残ってただろ?新婚旅行には、有給を使うといい」
そしてお父さんは、優しい声でそう言ってくれた。
「うん、ありがとう」
「さくら、父さんにもちゃんとお土産買ってきてくれよ」
「分かってるよ。 京都に行くから、生八つ橋買ってくるよ」
とわたしが言うと、お父さんは「それは楽しみだな」と笑っていた。
「さくら。後で有給の申請、出しておけよ」
「分かった。 じゃあわたし、医局に戻るね」
「ああ、頑張れよさくら」
「うん」
わたしは医院長室を出ると、そのまま医局まで戻った。
「さくら先生、おはようございます」
「あ、おはようございます」
医局に行くと、すでに四方木先生と松村先生たちが来ていた。
「おはようございます、松村先生」
「……おはようございます」
相変わらず松村先生は無口だ。余計なことは何も話さないのだ。
松村先生との距離の詰め方が、イマイチ分からないんだよね……。
「あ、四方木先生」
「はい?」
「わたし、来月有給頂きますね」