【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


 と、お父さんは言ってくれた。

「ありがとう、お父さん」

「さくら、有給まだ残ってただろ?新婚旅行には、有給を使うといい」

 そしてお父さんは、優しい声でそう言ってくれた。 

「うん、ありがとう」

「さくら、父さんにもちゃんとお土産買ってきてくれよ」

「分かってるよ。 京都に行くから、生八つ橋買ってくるよ」

 とわたしが言うと、お父さんは「それは楽しみだな」と笑っていた。

「さくら。後で有給の申請、出しておけよ」

「分かった。 じゃあわたし、医局に戻るね」

「ああ、頑張れよさくら」

「うん」

 わたしは医院長室を出ると、そのまま医局まで戻った。

「さくら先生、おはようございます」

「あ、おはようございます」

 医局に行くと、すでに四方木先生と松村先生たちが来ていた。

「おはようございます、松村先生」

「……おはようございます」

 相変わらず松村先生は無口だ。余計なことは何も話さないのだ。
 松村先生との距離の詰め方が、イマイチ分からないんだよね……。

「あ、四方木先生」

「はい?」

「わたし、来月有給頂きますね」
< 137 / 180 >

この作品をシェア

pagetop