【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


 お母さんはわたしの幸せを誰よりも願っている。お父さんはずっと、わたしにそう言っていた。
 そしてその時、わたしの内線が鳴った。

「はい。楠です」

「さくら先生、急患です……!」

「分かりました。すぐ行きます!」

 わたしは電話を切ると、そのまま救急車が着く入口まで走った。

「救命医の楠です。患者さんの容態は?」

「患者は20代の女性。ピーナツアレルギーでアナフィラキシーショックを起こしています。血圧上が95、下は60です」

「なんでアナフィラキシーショックに?」

 ピーナツアレルギーと分かっているなら、普通は食べたりしないよね?

「レストランで食事中、ピーナツオイルの入ったドレッシングのかかったサラダを口にしたようです」

「え、ドレッシング?」

 それ、ピーナツアレルギーだってことを伝えてなかったってこと?

「はい。友人の話だと、ピーナツアレルギーだと伝えていたようなのですが……。どうやらお店側がそれを共有出来ていなかったようで……」

「分かりました。カルテお預かりします」

「よろしくお願いします」

「はい。急いで処置室運びます!」
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