【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


 と、茉里は笑った。

「北斗……いつの間にか結婚してたんだね」

 しばらくして茉里は、俺の左手の薬指に嵌めてある結婚指輪を見つめてそう言った。

「……ああ。一年半前に結婚した」

 茉里は確か、結婚はしていないと思った。

「そっか。……幸せなんだね、北斗」

「まぁ」

「恋愛結婚?」

 茉里からニヤニヤしながらそう聞かれた俺は「……いや、お見合いだ」と答えた。

「お見合い? そうなんだ……。やっぱり医者は恋愛結婚、とかじゃないんだ」

「お前、それは偏見だぞ」

 とすかさず言ったが、茉里は「いや、医者はお見合いのイメージしかないんだけど……」と言ってきた。

「……ねえ北斗」

「ん?」

「お見合い結婚なんかで……北斗は本当に良かったの?」

 と、茉里は真剣な顔で問いかけてきた。

「……どういう意味だ?」

 茉里の言っている言葉の意味が、全く分からない。

「北斗には幸せになってもらいたいの。……だからこそ、好きな人と幸せになってほしいの」

「……茉里、お見合い結婚でも、俺はそれでも幸せだ」

「そう……なの?」

「ああ。幸せだよ」
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