【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
さくらと結婚したことは、俺にとってプラスの出来事だ。
さくらがいるから、俺は頑張れる訳であって。
「……そっか。幸せなんだね、北斗」
「茉里は、幸せじゃないのか?」
「……幸せなのかな」
そう呟いた茉里の表情は、少しだけ辛そうだった。
「え?」
「わたし……女優になる夢叶えたのに、幸せなのか分からないの」
そう言って俯いた茉里。 俺はそんな茉里に「茉里はいつも、テレビの中で笑ってるよな。笑顔で女優の仕事してるし。……正直、幸せだと思ってたよ」と話した。
「……北斗」
「俺は茉里の夢、叶ったこと嬉しいけどな。茉里の笑ってる顔……好きだったし」
茉里の笑顔があの頃は大好きだった。 茉里といると落ち着いて、一緒にいると楽だった。
「……ありがとうね、北斗」
「じゃあ俺、行くわ。……身体に気を付けてな、茉里」
「ねぇ、北斗……!」
出ていこうとする俺の白衣を、茉里は掴んだ。
「……茉里?」
「北斗……わたし」
茉里は何かを言いた気に見えるが……。
「……ごめん、俺行くわ」
そこで言葉を遮った俺は、そのまま病室から出て行く。