【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
山田さんは今夜が山場、といってもおかしくない……。
「出来る限りのことはしましたが……後はご本人の体力、次第でしょうか」
「……先生」
「……では、失礼します」
俺は病室を出ると、そのまま医局に戻った。
「高枝先生、山田さんは……」
「……今夜が峠になるかもしれない」
戻ってきた俺に、同僚が問いかけてくる。
「……そうですか」
「今夜は……眠れそうにないな」
何もないことを祈るしかないが……。
* * *
「山田さん、山田さんしっかりしてください! 山田さん……!」
その日の夜中、山田さんの容態がまた急変したのだった。
「先生、脈触れません……!」
「血圧下がってます……!」
山田さんの容態は著しく悪かった。
「山田さん、頑張って! ご家族が待ってますよ……!」
「先生、心停止しました……!」
「まずい……蘇生するぞ!」
モニターには心拍数が0と映し出されている。急いで蘇生を試みる。
「除細動するぞ!離れろ!」
ニ回除細動で蘇生を試みたが……。
「……23時10分。死亡、確認」
山田さんは静かに息を引き取った……。