【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


「香野茉里は……。北斗さんの、元カノ……ですか?」

「……その話は、もういいだろ」

 香野茉里の名前を出した途端に、北斗さんの態度が明らかに変わった。
 ……それでわたしは、確信した。 北斗さんと香野茉里は、やっぱり昔付き合っていたんだと。

「北斗さんは、香野茉里のこと……。愛してたんですか?」

「……さくら、もういいだろ」

「イヤです。……お願いだから、答えてください」

 もし今も、北斗さんの心の中に香野茉里がいるとしたら……。なんて余計なことを考えてしまう。
 北斗さんの妻はわたしなのに。……なのになぜか、とても不安になってしまう。

「……俺が今愛してるのは、さくらだけだ。 茉里のことは関係ない。もう過去のことだ」

 【茉里】と、北斗さんは今香野茉里のことを【茉里】名前でそう呼んだ。
 やっぱり北斗さんは……香野茉里のことを愛していたんだ。

「……北斗さんの心の中には、まだ香野茉里がいるんですね」

「何言ってるんだ、さくら! そんな訳ないだろ……!」

「……だって、名前で呼ぶんですもん」

 わたしと同じように、【茉里】って名前で呼んだ……。
< 153 / 180 >

この作品をシェア

pagetop