【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
「香野茉里は……。北斗さんの、元カノ……ですか?」
「……その話は、もういいだろ」
香野茉里の名前を出した途端に、北斗さんの態度が明らかに変わった。
……それでわたしは、確信した。 北斗さんと香野茉里は、やっぱり昔付き合っていたんだと。
「北斗さんは、香野茉里のこと……。愛してたんですか?」
「……さくら、もういいだろ」
「イヤです。……お願いだから、答えてください」
もし今も、北斗さんの心の中に香野茉里がいるとしたら……。なんて余計なことを考えてしまう。
北斗さんの妻はわたしなのに。……なのになぜか、とても不安になってしまう。
「……俺が今愛してるのは、さくらだけだ。 茉里のことは関係ない。もう過去のことだ」
【茉里】と、北斗さんは今香野茉里のことを【茉里】名前でそう呼んだ。
やっぱり北斗さんは……香野茉里のことを愛していたんだ。
「……北斗さんの心の中には、まだ香野茉里がいるんですね」
「何言ってるんだ、さくら! そんな訳ないだろ……!」
「……だって、名前で呼ぶんですもん」
わたしと同じように、【茉里】って名前で呼んだ……。