【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


 だけど悔しいんだ。……北斗さんの元カノが女優だから、美人だから。 
 北斗さんと付き合っていたという事実があるだけで、羨ましくて仕方ない。
 
 だってわたしたちはお見合い結婚で、愛し合って結婚した訳じゃない。
 だからこそ、北斗さんと付き合っていた人が現れたというだけで、腹が立つ。……なんとなく北斗さんを奪い取られてしまうような気がして、急に不安に駆られてしまう。

「……さくら」

 そっとわたしの名前を呼ぶ北斗さん。

「お願い、北斗さん……。わたし以外の人を、見ないで」

 わたしがこんなにも嫉妬してしまうなんて、笑ってしまう。 
 想像したこともなかった。……自分がこんなに嫉妬する姿なんて。

「……さくら、安心しろ」

「北斗さん……?」

 北斗さんはわたしの目の前に座ると、その手を握ってきた。

「俺はさくら以外の人を愛するつもりはない。……今の俺には、さくらだけだ」

「……北斗さん」

「さくらとだから、幸せなんだ。……さくら以外の人なんて見る訳ないだろ?」

 そう言ってくれた北斗さんは、優しくわたしを抱きしめてくれた。

「北斗……さん」
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