【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


 わたしの不安を全部掻き消してくれるかのように、優しく話してくれた。

「茉里……いや、香野茉里と付き合っていたのは、確かに事実だ。 俺が研修医時代に付き合っていた人で、香野茉里がまだ女優になる前のことだ。……だけどそんなのはもう昔のことだ。今はなんとも思ってもないし、ただの入院してきた患者の一人だ」

「……本当に?」

「本当だ。確かこの前はに久しぶりに再会したから、ちょっと話が盛り上がってしまったが……。でもちゃんと結婚して妻がいること、そして妻のことを愛していると伝えた。……それに向こうだって、ちゃんと分かってくれたから」

 北斗さんの言葉に、わたしは自分が女優に嫉妬してしまったことを反省してしまった。
 なんで嫉妬してしまったのだろうか……と。

「……ごめんなさい、北斗さん」

「いや、俺こそ悪かった。さくらにイヤな思いをさせてしまったな。……でもさくらが嫉妬してくれていたと知って、ちょっと嬉しかった」
 
 北斗さんはそう言った後「ちゃんとさくらに、改めて愛してもらえてるんだと実感したよ。……それにさくらの嫉妬、可愛いかったし」と言ってそっと唇を重ねてきた。 
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