【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
幸せの新婚旅行
⑲いよいよ、です。
「さくら先生、いよいよですね」
「え、何がですか?」
わたしの誕生日まであと一週間と迫ってきた頃、看護師の本田さんからニヤニヤしながらそんな言葉を言われた。
「やだなあ。新婚旅行ですよ」
「ああ……なんだ、新婚旅行のことか」
「え?なんだと思ったんですか?」
てっきり三日後に始まる論文の発表会のことを言ってるのかと思った。
三日後に行われる論文の発表会に、脳外科の中塚先生が出席すると聞いていたので、てっきりそのことかと思った。
「そうそう。発表会には、すすきの総合病院の柳井(やない)先生も出席するらしいですよ」
「え、あの柳井先生が?」
「そう、あの柳井先生が、ですよ」
すすきの総合病院の脳外科の柳井先生は、アメリカの医科大学出身で、数々の難オペを成功させている今メディアでも話題の脳外科の先生だ。
何でもすすきの総合病院の医院長と柳井先生の父親が昔同じ大学病院の出身だったらしく、そのご縁もあり、医院長の推薦でわざわざ柳井先生を引き抜いたとまで言われているらしい。
「……へぇ、そうなんだ」
わたしも一度、柳井先生の論文を読んだことがあった。