【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。
「はい。……恐らく彼は、その彼女が抵抗した際に誤って刺されたものと思われます」
「……そうなんですか」
DVの被害者に、刺された……。それってもしかして、正当防衛ってこと?
「その彼女に話を聞いた所、被害者に暴力を振るわれていたと話が出てきましてね……。話を聞かせてもらえないかと、思いましてね」
警察からそう言われたわたしは、言葉を発するのを躊躇った。
「……意識ははっきりしていますが、まだ完全に治った訳ではありません。刺された傷は深く、出血量も多いため、まだ入院が必要です」
言葉を振り絞り、そう話した。
「少しで構いません。少しで、いいですから」
「……では、5分だけなら」
わたしはそう言うと、警察を篠田さんの病室へと案内した。
「ここが、篠田さんの病室です」
「ありがとうございます」
「……篠田さんはここでは患者さんです。お願いですから、あまり刺激を与えるようなことは、言わないでください」
「分かっています」
警察が病室の中に入っていく。 わたしは看護師を一人、病室の中に付き添わせ、様子を伺うように指示をした。