【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


「でも……。出血が多くて見えないの……」

「俺が出血部位を確認する。さくら、お前は止血するんだ」

「でもっ……」

 せっかく北斗さんが来てくれたのに、怖さで手が震えてしまう。

「さくら、大丈夫だ。俺が付いてる。……だから、落ち着いてやるんだ」

「……は、はいっ」

 わたしはその拳をギュッと握りしめ、ガーゼで止血を始めた。

「心停止になってもまだ間に合う。必ず助けるぞ、さくら」

「はい」

 北斗さんが来てくれたことで、その不安は少しだけど解消された気がした。
 北斗さんはその一分後、出血部位を確認した。

「あったぞ。ここだ! 止血する。サテンキー」

「はい」

「クランプするぞ」

 本田さんから手渡されたサテンキーを出血部位に挟んだ後、出血は止まった。
 そしてバイタルも戻り、心臓がまた動き始めたのだった。

「血圧上昇してきました……! 脈、触れるようになりました!」

 その瞬間にわたしはホッとして、その場に座り込んでしまった。

「大丈夫か、さくら?」

 そして気づいたら、わたしの瞳からは涙が流れていた……。

「救急隊に、病院に搬送するように伝えてくる」
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