【完結】ドSな救命医に見初められ、婚姻関係を結びました。


「そうですね……。黒、ですかね?」

 白のワンピースは汚れが見立ちそうだし、黒の方がいい気がした。

「黒か。 よし、分かった。黒を買うか」

「でも、いいんですか?」

 と問いかけると、北斗さんは「いいんだよ」と答えてレジへと行ってしまった。
 会計を済ませた北斗さんは、そのワンピースの入った紙袋をわたしに手渡してくれた。
 
「ほら、さくら。買ってきた」

「ありがとうございます。北斗さん」

 お礼を言うと、北斗さんは「今度は破くなよ」と笑いながら言ってきた。

「はい。気を付けます」

「よし、次あそこの店行くか」

「はい」

 紙袋をを持ってくれる北斗さんだけど、その反対の手はわたしの手を握っていた。
 その左手に嵌められた結婚指輪を見ながら、わたしは一時の幸せみたいなものを感じていた。

「このバスタオル、フワフワしてて触り心地いいな?」

「そうですね。確かに、フワフワしてる」

「さくら、これ買わないか?」 

「いいですよ」

 バスタオルの手触りがあまりにも良かったため、わたしたちはそのバスタオルを二枚買うことにした。
< 91 / 180 >

この作品をシェア

pagetop