悪魔と人間
「うるさい」


その包丁を力任せに引き抜くと、カレンの胸から真っ赤な血が噴出し、キッチンを染めていく。


カレンの体が力を失いそのまま倒れていくのを横目で見ながら、幸男は母親の方へ近づいて行った。


母親は腰が抜けたのか、その場に座り込んだまま動かない。


恐怖にゆがんだ顔がどうにもおかしくて、幸男は笑い声を上げた。


「お前の最後の顔、ケッサクだな」


冷たくそう言いはなつと躊躇することなく母親の胸に包丁を突き刺した……。
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