悪魔と人間
☆☆☆

幸男は二人の父親が帰ってくるのを待った。


逃げようとも考えたが、この状態で死体が見つかるとすぐに警察に連絡されてしまう。


ならば、主の帰りを待ち、同じように殺してやろうと考えたのだ。


しかし、待っても待っても家主は帰ってこなかった。


誰もいない部屋の中でウトウトしかけていたとき、突然この家の電話が鳴った。


飛び起きた幸男は、時間を確認した。


夜中の二時がすぎている。


「誰だこんな時間に……」


別にほっておけばいいのだが、夜中に電話してくる人間に興味を覚えたのか、幸男はその受話を取った。


「もしもしぃ?」


こちらが口を開くよりも先に、甘ったるい声が電話口から聞こえてきた。


しかも、かなり若い女の声だ。
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