悪魔と人間
「今日、旦那さんこっちに泊まるからぁ。あと、明日も帰らないって」


その女の後ろからは、カレンの父親であろうその人の声もうっすらと聞こえてきた。


『これだけあれば当分二人で暮らしていける』


『パパが帰ってこないうちに早く……』


二人の会話を思い出す。


幸男は受話器を置くと、包丁を手にその家を出た。
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