悪魔と人間
そして、幸男は真っ直ぐに、とある家を訪ねた。


「お願いだ。助けてほしい……」


「誰だお前」


「金ならある! お願いだ。俺をどこかへ逃がしてくれ!」


言いながら、幸男は持っていた袋を開けて男へ見せた。


その金を目にした瞬間男の表情がかわる。


男は一万円札の一枚を手に取り確認する。


「本物か」


「もちろんだ!」


幸男の額からは大粒の汗が滲み出ていた。


「お前、何ものだ?」


「……山梨、幸男」


男の質問に、幸男は答えた。
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