悪魔と人間
☆☆☆

数ヶ月後、河川敷の橋の下。


「タバコ投げ捨ててんじゃねぇよ!」


幸男はそう怒鳴り、ビニールシートとダンボールを家にしたホームレスへ怒鳴りつけた。


歯が黄ばんで、伸び放題になった髪のホームレスは幸男を見てニヤリと笑った。


「あんた、電気屋のテレビで見たよ」


魔女のような声をしたホームレスがそう言うと、幸男は「チッ」と舌打し、歩き出す。


「人殺しで指名手配なんだってな! まぁ、そんな格好じゃ警察にもバレねぇや!」


後ろからホームレスの罵声が飛んでくる。


クソッ!


幸男は足元にあった空き缶を蹴飛ばそうとして、軽く息を吐き出し、それを拾って袋に入れた。
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