悪魔と人間
今、幸男はホームレス生活をしている。


ヤクザに頼んだことですべてうまくいくと思っていた。


金を渡したのだ、自分の身代わりを立ててくれると、勝手に思い込んでいた。


結局、ヤクザは幸男の金を奪っただけで何もしてくれはしなかった。


「こんなハズじゃない」


立ち止まり、幸男は青空を見上げた。


ボロボロになった服が、風でパタパタと音を立てる。


大金が目の前にあり、浮かれて、すべて自分中心なのだと思い込んだ。


金で手に入らないものなんかないと、そう思っていた。


「あの生活はどこへ行った?」


幸男はまだ空を見上げ、自問した。
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