悪魔と人間
あの、サラリーマンの頃の自分。ヨレヨレのスーツにせんべい布団。


上司のグチにおばさん連中との会話。


それさえも、今はもう幸男の手に入らないものになってしまった。


「何で、あんな金があったんだよ」


悔しさで、涙が出てきた。


本当に情けない。自分がバカでバカで、どうしようもない。


そんな中、幸男はふと考えた。


「あの金は、悪魔が持ってきたのかもな」


その呟き声は、何もない宙へと消えて行った……。
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