幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 わたしはぺこっとお辞儀をした。
 そして頭を起こしたとき、ぐわんと目が回って、身体が斜めに傾いた。
 やだ。今ごろ、お酒が回ってきた?

「大丈夫か」
 先生は手を差し伸べて、わたしを支えてくれた。
 勢いあまって、わたしは先生の胸に抱きとめられた。

「すいません。急に頭がくらっとして」

 ほどなく、めまいは収まり、わたしは両足を踏ん張って身体を起こした。
「もう平気です。失礼しました。お気をつけて」

 わたしは後ろを向いて、エントランスに向かった。
 もう一度、振り返ると、先生はまだ、車の前に立っていて、手を振ってくれた。
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