幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 正直、訳がわからなかった。

 わたしも璃音が気まぐれなのはよく知ってる。
 もうここにいる必要がなくなって、出て行きたくなったところまではわかる。

 でも、だからといって、完全に連絡まで絶ってしまう必要ある?

 そして、そんなことをされたら、余計に璃音が恋しくなって、この2カ月、気づけば璃音のことばかり考えている。

 近況が聞けるかも知れないと、2年ぶりにお盆に帰省もした。

 璃音のママにそれとなく尋ねたけれど、もう長いこと、連絡はないそうだ。

「まあ、前からまめに連絡くれる子じゃなかったけどね。でも、テレビとか雑誌の記事を通してしか情報が入ってこないってどう思う? わが息子なのにねえ」
 そう言って、ため息を吐いていた。

 あいかわらず綺麗だな。璃音ママ。
 そして、さすが親子。よく似てる。
 特に笑顔が。

 今まではあまり意識したことはなかったけれど。
 彼女のふとした表情に、璃音の面影を重ねている自分がいた。
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