幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
「わたし、お邪魔みたいね」
 自分を無視して物思いに耽るおれに呆れたのか、アリサは立ち上がった。

 そして、テーブルに置いてあったメモ帳をやぶくと、そばにあったペンで何かを書きつけ、半分に折ると、すばやくおれのポケットにねじ込んだ。

「気が向いたら、連絡して」
 そう言って立ち去った。

 はっ、めげない女。
 さすが、〝共演者キラー〟の異名を持つだけある。
 やることにそつがない。
 熟練のスリみたいな手際の鮮やかさに、おれは感心していた。


 ……たまには、こういう手に乗ってみるのもいいかもしれない。

 もういい加減、ちさ姉を忘れるために。


 おれはポケットからメモを引っ張り出すと、癖の強いアリサの字をじっと眺めてみた。
 で、家に戻って、気が変わらないうちにLINEした。

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