幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 実はあの後、おれとアリサは何もなかった。
 いや、出来なかった。
 
 キスを交わして、その先に進もうとしたけど……

 まったく反応しなかった……その、おれのが。

 数回チャレンジしてもダメで。
 気まずい沈黙の後、水風船が破裂したみたいに、突然、アリサが泣き出した。

「もう、なんなの! どいつもこいつも腰抜けばっか。わたしのことなんて、皆んな、どうでもいいと思ってるんだから!」

 あふれ出す涙と鼻水にまったく構わず、アリサは声をあげて泣き続けた。

 抱きしめて慰めようとしたら激しく拒否られ……
 「ごめん」
 そう言って、立ち尽くしているしかなかった。

 傷を舐め合うどころか、いい加減な気持ちで抱こうとして、彼女の傷をさらに広げちまった。

 アリサに、悪いことをした……
 今日の撮影、どんな顔して会えばいいんだか……

 
< 126 / 150 >

この作品をシェア

pagetop