幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 アリサとはまた元通りに、普通に付き合えるようになっていた。

 あの後はじめて顔を合わせた日、アリサに「一発ぶたせて」と言われ、思いっきり頬を張られた。

 痛そうに手で頰をさするおれを見ながらすっきりした顔で笑い「後半戦も撮影がんばろう」と肩を叩かれた。

 アリサがサバサバした性格で、ほんと助かった。


「あいつらまいて、どっか飲みに行く?」
 後ろから追いかけてきたアリサがおれに囁く。

 マネージャーがそれぞれ、気を揉んだ顔をしてこっちの様子を伺っている。
 あの件があって以来、非常に警戒が厳しい。

「やめとく。なんか疲れた」
「あっそ」
「そういや、あいつとまだ続いてんの?」
「うん」

「でも、なんでお前みたいな賢い女が、不毛な関係続けてんの?」
 おれが訊くと、アリサはちょっと考えてから言った。

「なんでだろ。もうそんな熱い気持ちを持ってるわけでもないんだけど。離れらんないのよね」

そう言ってからにやっと笑った。

「でも、そんなこと、あんたにだけは言われたくないけど。“万年片思い男“くん」

「うるせえ」

 アリサはさらに声のトーンを上げて、高らかに笑うと、じゃあねと言って控室に入っていった。

 おれも自分の控室に戻った。
 鈴木が後に続いた。
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