幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 わたしは知っている。

 おれの辞書に『片付ける』という言葉はないと豪語する璃音を、彼のママがいっつも頭にツノを生やして叱っていたことを。

「それに恋愛ドラマでしょ? わたしが相手じゃ、まったく参考にならないんじゃない?」
「えー、だって他にそんなこと頼める奴なんていないし。なぁ……ちさ姉。いいだろ?」

 璃音は瞳をうるうるさせて、わたしを見つめてくる。
 この眼差しで推しの子たちを悩殺するのか。
 でも、残念ながらわたしには効果はない。

「そんな顔しても無駄」
 そっけない言葉に、璃音は頬をふくらませる。

 うん、まあ確かに……
 そんなふくれっつらをしても、麗しさをまったく損ねないのはさすがだけど。
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