幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 璃音は勢いをつけてソファーから立ちあがると、がばっとわたしに抱きついてきた。

「ちょ、ちょっと璃音……」
 戸惑うわたしには構わず、璃音はぎゅっと抱きついてくる。

 でも、なぜか異性と抱きあっている気がしなかった。
 それよりも、怖い夢を見て目覚めた子供が母親にしがみつくみたいな必死さを感じた。

 頭を撫でて、よしよしとしてあげたくなってくるような。

 幼いころ、転んだ璃音を慰めたときみたいに。
 
 それは……
 身を焦がすような熱いものではなくて。
 包み込んであげたくなるようなもの。

 そっか。
 これが「母性愛」っていうのかな。

 幼いころ、璃音が可愛くて仕方がなかったころの、甘酸っぱい気持ちが蘇ってきたようだった。
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