幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
***

 マンションに戻り、微妙な雰囲気で昼ごはんを食べ終えたあとは、お互いの部屋の片づけに追われた。
 
 4時ごろ、ようやくひと段落ついて、璃音はソファーに寝っ転がった。

「つっ疲れたぁーー、こんなに働いたのいつぶりだろ?」
「お茶、淹れてくる」

 璃音はそのままの姿勢で手だけ振って、了解の合図。

 もう、横着なやつ。

 でも、時間を置いたからか、昼間の気まずさはもうどこかに消えていた。

 考えてみると不思議な気がする。

 なんで、こんなに自然体でいられるんだろう。
 璃音と長時間、ふたりっきりで過ごすなんて、それこそ10年ぶりぐらいなのに。

 一切、気を使わなくていいと言うか。

 それが幼なじみの良さなのかな。
 大人になってから出会った人とは、こんなに心から打ち解けることってない気がする。

 地元で、小中の友達に会ったときも、すぐに当時の雰囲気に逆戻りできるのと同じ……

 でも、璃音といるときの空気は、またそれとも違うような気がする。

 もう少し特別な、何か。

 それが何か、よくわからないんだけど。
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