幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 わたしが淹れたお茶を飲みながら、璃音はぽつぽつと仕事のことを話しはじめた。

「たまにさ、虚しくなることもあるんだよ。だって、おれの仕事って、人のいいなりに動くだけだからさ」

 ため息をひとつ()と、コップから水があふれるように璃音の口からとめどなく言葉があふれ出してきた。

 いつになくシリアスな顔つきで。

「何をするんでも、すべてお膳立てされててさ。
 はいっ、こっからこの位置に移動して、あのカメラに目線を……はい、にっこり笑って、ウインクして。
 で、はいはいって言うこときいて、こなせばいいだけ。

 何? おれたち、人形と変わんねえじゃんって思うときがあるよ。

 最近、CMやMV撮影はCG合成があたりまえだから、ただのグリーンの背景の前で、海があるふり、山に登ってるふり、空を飛んでるふり……

 なんでこんな、くだんねぇことさせられてんだろうって思うことも多くてさ」
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