幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 なので、はじめのうちは、その気楽さを堪能した。

 仕事で疲れたら、会社の近くでご飯食べて帰ればいいし、お風呂入ってるときも、もし璃音が洗面所に入ってきたらどうしよう、とか心配しなくていいし。

 でも、水曜日の朝になると……
 あのちょっと甘えたような、鼻にかかった璃音の「ちさ姉」という声がものすごく懐かしくなった。

 ――帰国まで、まだあと2日もあるのか。早く帰ってくればいいのに。


 ふと、そんなことを思っている自分に驚いた。

 たったひと月で「璃音のいる生活」が当たり前になってしまっているのだと気づいて。


 そして同時に、彼の不在に物足りなさを感じたのは、今回がはじめてじゃなかったことも思い出した。

 
< 77 / 150 >

この作品をシェア

pagetop