幼なじみはトップアイドル 〜ちさ姉を好きになっていいのは俺だけ〜
 それは、忘れもしない、高2の夏休み。
 璃音がスカウトされて、実家を出て、事務所の近くで暮らすことになると、言いに来たときのことだった。

 その当時はもう、子どものころみたいに四六時中、一緒にいたわけじゃなかった。
 たまに道ですれ違うぐらいしか、会う機会もなかったのだけど。

 でも……
 これまで一番近しい存在と思ってた璃音が、手の届かない別世界に行ってしまう。

 そう思うと、やるせなくて耐えられないほど切なくなった。
 
 そりゃ、小さいころはあまりにもイタズラばっかりするから、もう、どっかにいってほしいと思ったこともあったけど。

 芸能界という、華やかな世界の住人になったらきっと、わたしのことなんて、これっぽっちも思い出さなくなるんだろうな。

 そう考えると、とても辛かった。
 
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