U&I
友人は颯爽と自転車で行ってしまった。

由宇はというと、私に引っ張られながら欠伸を噛み潰している。

本当に手の掛かる大きい弟だ。




「流石にもう歩きなさい!」


高校の手前で私は由宇から手を離す。


「えー、なんで。中学までは教室まで繋いでくれたじゃん」


由宇は足を止め、不機嫌全開でムスッとする。

中学までは周りはみんな知っていたから気にもしなかったが、高校は私達のことを知らない人もいるし、由宇のファンもいると思う。
こんなところを見たら怒る人もいるだろう。

だから私は高校生になったのを区切りに手を繋ぐことを止めようと思っていた。
結局途中までは繋ぐ羽目になってしまってはいるけれど。


「だって私達もう高校生だよ!?」


私がそう返すとフッと目の前が陰る。
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