U&I
「ちょっと離してよ!」

「暴れると危ない。落ちるよ」

由宇が離してくれないし、階段を降り始めたので私は仕方なく大人しく由宇の肩に手を置いた。


「おはよう、由宇。あらあら亜衣ちゃん、また窓から来たの?起こしてくれるのは助かるけど、危ないから止めてね」

階段を降りきったリビング前の廊下、由宇のお母さんに抱っこされているところを見られてしまった。


「もう降ろして!恥ずかしいっ!」

私は真っ赤な顔で足をバタバタさせて抵抗する。

「注意したから大丈夫」

それなのに降ろしもせずに呑気におばさんに返事を返す由宇。

「そっかそれなら安心。あ、もう仕事に行かなきゃ行けないわ!亜衣ちゃん、由宇を今日もよろしくね!行ってきまーす!」

スーツ姿の由宇のお母さんは颯爽と玄関から出ていった。
由宇は「いってらっしゃい」と言うと何事も無くリビングの扉を開ける。
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